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里山や水田などに放牧する時、牧区の面積が小さく、分散して点在することが多いのですが、たいてい周辺には隣接して水稲や野菜などが栽培されている場合が多く、脱柵防止機能の高い牧柵が要求されていました。

また、耕作放棄地の利用や、高齢化による飼養管理の軽減、獣害対策などを目的として放牧への取り組みが増えていることから、設置や撤去が比較的簡単で、メンテナンスも最小限で済む柵の開発を目指しました。

今回の開発は、畜産草地研究所、放牧管理部行動管理研究室の委託によって行われ、今年で3年目を迎えています。実証試験で電気柵を設置した牧場を中心に、放牧への取組みが着実に広がっています。

今回の開発にあたって、電気柵の心理的な効果と物理的にも脱柵防止力が高い、インサルティンバー(絶縁木)システムを採用しました。

インサルティンバーは電気を通さない、絶縁性のある特殊な天然木です。耐久性が10-20年と長く、碍子を必要としないため施工が比較的簡単で、将来のメンテナンスも少なくてすみます。

また、従来のインサルティンバーシステムでは2.5mmの厚亜鉛メッキの高張力鋼線を使用しており、このワイヤーだけで引っ張り強度が700kgあります。電気柵の動物に対する心理的な効果と、柵全体の構造によって、物理的な強度を併せ持つ柵です。

このインサルティンバーをさらに施工しやすく、移設の可能性も考えて簡易的にしたものが今回開発している「水田里山放牧地用・絶縁木電気柵」です。

物理的強度や電気柵としての効果を保ちつつ、里山での放牧に適した仕様を検討しました。

委託研究としては今年度で終了しますが、より施工が簡単で、使いやすい電気柵になるよう、これからも改良を重ねて行く予定です。

絶縁木。この杭を使うと碍子が必要ありません。3本のうち、1本しか打ち込まなくていいので、施工も楽です。
ワイヤーに電気を流す、電気牧柵器の設置風景。このように、電源の無い場所にソーラーパネルを使って設置できます。
上が従来のワイヤー(2.5mm)、下が今回の1.6mmの高張力鋼線です。引っ張り強度は220kgあります。